学長

学長メッセージ


「広島の未来をつくる」ために。~「これから」の話をしよう~

2014年度、広島市立大学は開学20周年を迎えました。そこで、20周年記念コンセプトである「広島の未来をつくる」について、青木理事長兼学長にお話を伺いました。

―「広島の未来をつくる」ために、広島市立大学が現在担っている役割について、お聞かせください。

 本学は1994年(平成6年)に開学し、これまでに6,440名の学部卒業生と1,922名の大学院修了生を輩出しています。学部入学者の分布を見ると、学部によって少し差はありますが、全体で見ると約60%もの入学者が広島県内・市内の出身者であるわけです。そして就職の分布を見ると、今度は約42%もの卒業生が県内・市内に就職している。このことからわかるように、公立大学に求められる教育的役割、つまり地域の優秀な学生を受け入れ、育て、そして地域へ還元するという役割をかなり立派に果たしてきていると言えるかと思います。
 また研究についてもさまざまな実績を重ねてきていますが、高齢者の健康管理を遠隔で行える「みみスイッチ」の開発など、広島発で今後世界的に活用される技術や、被爆者やその子孫を描く「光の肖像」制作など、国際平和文化都市という広島市の都市像に沿った研究プロジェクトなどを行ってきています。
 社会貢献についても、社会人講座の一つである「英語eラーニング講座」では、これまでに約3,500名もの市民の皆さんが受講されていますし、最近のものを挙げれば、高齢化が進む地区を活性化させようとする基町フェニックスアートプロジェクトがあります。
 このように、広島市立大学は広島市の高等教育機関として、都市機能の一部であるとともに、他の都市機能の強化充実にも役立ってきたと信じています。

―「広島の未来をつくる」ために、広島市立大学が「これから」果たしていく役割について、理事長の考えをお聞かせください。

 「科学と芸術を軸に世界平和と地域に貢献する国際的な大学」という建学の基本理念に沿って、大学を発展させていくことが、「広島の未来をつくる」ことにつながると考えています。この基本理念には、国際、情報、芸術、平和というように本学の特色がすべて入っていますが、今後はこれらの分野に、横糸としての世界と地域という視点を強化し、さらに特色ある教育・研究を紡いでいきたいと考えています。例えば、学生には留学を通じてグローバルな視点を持つと同時に、一方で地域の課題に向き合うなど、鋭い問題意識と問題解決に役立てることのできる知識、スキル、人間力を磨くことができるような教育をしていきたいと考えています。
 また1945年8月6日以降、歴史上、そして世界の中で特別な意味を持つこととなった広島市が設置した大学として、そのアイデンティティをしっかりと学生に伝えていきたいと思っています。社会に対する使命感、行動する意欲、拠り所とする専門的知識を持った学生を育て、地域や社会に還していく。未来をつくるということにおいて、もっとも重要なことは人を育てることですから、広島市立大学にしかできない人材を輩出したい。そして、本学が広島市にあることを市民の皆さんが誇りとしてくださるような、そんな大学にしていきたいと思っています。